合理性の追求ではなく、
絶対的な信頼性を追求していく。
産業用フラッシュストレージメーカーであり、エレコムグループの一員でもあるハギワラソリューションズにて、産業用SSDのファームウェア設計を手掛けています。産業用SSDは、製造設備やプラントをコントロールするコンピューター、鉄道や航空分野の運航管理システムなど、社会を支える様々な分野で使われることを想定した製品です。それだけに非常に高い信頼性が求められます。
例えば、交通システムに不具合が起これば、大規模な渋滞が発生してしまい、都市の交通機能が麻痺するリスクが考えられます。また、電車や飛行機を運航できないといった事態が起これば、その経済的損失は計り知れません。それだけに、どんな状況にあっても安定稼働する極めて高い信頼性が我々の製品には求められるのです。
では、どうやって製品の信頼性を高めていくのか。その答えのひとつが、自社でゼロから設計・開発することにあります。現在の開発手法の主流となりつつあるのが、モジュール化されたものを組み合わせた製品開発です。すでにある汎用性の高いモジュールをいくつも組み合わせて、短時間で設計も開発もしてしまおうというやり方です。
そのような開発手法を念頭に置きながら、私たちは主要なモジュールを全て自社内で、ゼロベースから生み出していくやり方を採用しています。製品はもちろん、評価システムも自分たちで作ります。と言うのも、既存の設計にこだわり過ぎたり汎用的なソフトウェア、ハードウェアを使ってしまうと、どうしても思ったような性能を出せなかったり、中にはブラックボックス化された箇所の不具合解析が困難であったりするためです。自社で、SSDに特化し性能や信頼性を高めた設計資産をモジュール化できれば、必要に応じてそれらを改良しながら、後継製品の開発を効率化できます。
産業用製品が故障した場合は、同じ故障や不具合が二度と起こらないよう、徹底的に原因を特定し対策することが求められます。「なぜ故障が発生したのか」「どんな原理で不具合が起こったのか」といったことを全て解き明かし、経緯も全て公表する必要があります。だからこそ、メーカーである以上、製品の細部まで解析可能でなければなりません。効率が良いとは言えませんが、全てを自分たちで生み出すからこそ実現できる信頼性が、私たちの産業機器メーカーとしてのこだわりです。